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2023.08.09

転職コラム

公立保育所がどんどん減る中、公立保育士の進むべき道は?

公立保育所がどんどん減る中、公立保育士の進むべき道は?

例えば大阪市の市立保育所は、2003年の135ヵ所から2021年の57ヵ所へ、ここ18年ほどで60%近くも減っています。78ヵ所が民営化や民間委託されたことがその理由です。23年8月現在も港区の八幡屋保育所、西成区の長橋第2保育所などで、民営化に向けた委託先の公募が行われています。もちろんこうした動きは大阪だけの話ではありません。全国で公立保育所の数がどんどん減っていく中、いま公立で働いている保育士さんの将来はどうなっていくのでしょう?

2001年に小泉内閣で「待機児童ゼロ作戦」が掲げられてから20年以上。受け入れ施設の拡充、保育士の待遇改善などの対策の成果は、確実に数字に表れています。2000年当時は100万人ともいわれた待機児童。近年で最も多かったのは2017年の2万6000人ですが、2022年には2994人にまで減っています。しかし完全にゼロになったわけではありません。状況は自治体によって様々ですし、まだ「隠れ待機児童」といわれる子どもたちも少なくありません。
その解決策として、各自治体は公立保育所の民営化を積極的に進めています。民営化すれば独自の保育方針やカリキュラムを導入できるので、保護者の支援体制が充実し、利用率がアップする。公立ではできない朝早くから夜遅くまでの預け入れ、土日祝の預け入れも可能となり、より幅広い保護者に対応できる。さらに財政的に厳しい自治体では、民営化で負担を減らせるという狙いもあるようです。
保護者の意見は多くの場合、民営化賛成・民営化反対の2つに分かれます。そのため自治体では保護者会や説明会で丁寧な説明を重ねて民営化を進めていきます。また民営化された後も、急に保育内容を変更するのではなく、数年をかけて少しずつ変えていきます。だから子どもたちは民営化先の園にそのまま通い続けるケースが多いようです。
しかし保育士は、そのまま民営化保育園で勤務というわけにはいきません。例えば大阪市立の保育所で働く保育士は「大阪市の職員」ですから、市の辞令により異動することになります。ただし公立保育所はどんどん減っていますので、別の保育所で保育士を続けられるとは限りません。児童養護施設、学童保育、市役所の保育関係の部署などへの異動を命じられることもありますが、公務員の身分を維持しようと考えるなら受け入れるしかありません。
もちろん民営化先に応募して、同じ場所で保育士を続けるという道もあります。でもそのためには安定した公務員を辞める必要がありますし、応募したからといって必ず面接に通る保証もありません。また採用されたとしても、公務員より待遇が下がることもあります。
民営化が加速する中、公立保育所での勤務は年々難しくなります。それでも保育士という仕事を続けていきたいなら、私立保育園への転職を考える必要があります。ただ長年、公立で働いてきた人からは「いまから私立で頑張っていけるかな」「私立の方針や雰囲気に馴染めるかな」といった不安の声も聞こえてきます。
保育士専門の転職エージェントとして、これまで数えきれないほどの転職をサポートしてきた私たち『ほいとも』にも、そんな不安を持つ人の相談が少なくありません。でも実際に私立に転職したあとは、「保育観に大きな違いがなく、すぐに溶け込めた」「新しい保育理論などを学べて刺激になっている」という声が多いのも事実です。
まずはどんな保育園で働きたいのか、みなさんの希望を聞かせてください。専任のキャリアアドバイザーが保育園探しから面接・採用に至るまで、親身になって寄り添います。民営化先でそのまま働き続けたいという場合も、募集状況の確認、面接の調整など、できる限りの支援を行いますので、ぜひ一度、相談に来てください。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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