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2023.10.04

転職コラム

最低賃金改定で全国平均時給が1004円に。保育士の給与はいかに!

10月の最低賃金改定で全国平均時給が1004円に。保育士の給与も上がる?

毎年10月に全都道府県の最低賃金が改定されます。これは保育士さんを含めたすべての労働者の最低限の生活保障を目的としています。物価上昇率なども加味しながら基準となる時給が引き上げられますから、2023年は前年度から平均43円アップしました。いちばん高いのは東京の1113円。いちばん低いのは岩手の893円。全国平均で1004円となり、初めて1000円台に乗ったことも話題になっています。ではこの最低賃金の引き上げで保育士業界の給与はどうなるのでしょう?

大阪の最低賃金は昨年の1023円から43円上がって1064円となりました。10月以降は時給1064円未満での求人募集ができなくなります。すでに働いている人の時給もすべてこれに準じますので、現在1030円の人は確実に1064円以上になります。最低賃金は都道府県により異なりますので、まずは自分の10月以降の時給がそれを下回っていないか、下記でチェックしてみてください。

◆厚生労働省/地域別最低賃金の全国一覧
令和5年度地域別最低賃金改定状況


ただし都道府県は居住地ではなく勤務先がベースとなりますので、大阪在住で兵庫で働く人の最低賃金は1064円ではなく、1001円です。また最低賃金には一律で支給される手当を含んでもいいことになっています。例えば大阪で「時給1064円(一律処遇改善手当含む)」はOK。一律でない交通費・残業代・賞与/ボーナス・報奨金などは含んではいけないので、「時給1064円(交通費込み)」はNG。これらを踏まえ、最低賃金を割っていると違法になりますので、地域の労働基準監督署に相談することをオススメします。
 
正社員の月給も時給が基準となるので、新規募集の月給も、いま働いている人の月給も、10月以降に引き上げられる可能性があります。厚労省は月給が最低賃金を下回っていないかをチェックするのに「月給÷1か月の平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)」という式を提示しています。例えば大阪で月給16万5000円・月平均労働160時間(8時間×20日)なら、16万5000円÷160時間=1031.25円で、最低賃金1064円を割り込みます。逆算すると大阪では1064円×160時間=17万240円が最低ラインとなりますね。
もちろん、月給の場合も通勤手当や家族手当など一律でない手当を含むのはNG。だから「月給18万円以上(通勤手当含む)」といった求人欄は通勤手当の詳細を確認する必要があります。就業中の人も自分の10月の給与明細を、ぜひ一度じっくり見てみてください。通勤手当や家族手当を含んで「総額18万円」という人は手当を除く基本給額を要確認。疑問があれば園に質問しましょう。いままで「手取り額しか見てなかった」という人は、いい機会になるはずです。こちらも厚労省が様々なケースを解説していますので参考にしてください。

◆厚生労働省/最低賃金
最低賃金のチェック方法は?
最低賃金改定で保育士の給与水準も毎年、少しずつ上がっています。でもこれ、いいことばかりではありません。例えば扶養内で保育士として働いている人は、これまでの勤務時間・日数のままでは年収が扶養枠を超える場合があります。また扶養枠を超えると雇用者側に社会保険料の負担が発生するので、園から日数や時間を削られる可能性もあります。政府はいわゆる「106万円の壁問題」解決のための助成金制度の導入を、最低賃金改定の10月に合わせて半年ほど前倒ししましたが、「制度が複雑」といった声も多く先行きは不透明。しばらくは、これまで通り扶養枠を意識する必要がありそうです。
さらに最低賃金の引き上げで全体の人件費が高騰する分、「なるべく少ない人員で運営しよう」と考える経営者もいるようです。人員削減、新規採用の停止や抑制に踏み切る園もないとはいえませんね。
とはいえ、賃金が上がるのは望ましいことです。大阪の最低賃金は1990年/547円、2000年/669円、2010年/779円、そして2023年/1064円と、この30年ほどでほぼ倍増しています。「私が初めてバイトしたときは時給800円だったわ」という人もいると思いますが、時代は変わっています。いまの最低賃金をしっかりチェックしましょう。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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