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2024.04.10

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2024年の「障害福祉サービス等報酬改定」、保育士さんにも影響がありますよ!

2024年の「障害福祉サービス等報酬改定」、保育士さんにも影響がありますよ!

医療報酬や介護報酬と同様に、「障害福祉サービス等報酬」も定期的に改定されます。「障害福祉サービス」には障害者施設のほか、自立をサポートする訓練施設や就労支援施設、さらに障害児童を支える放課後等デイサービスなども含まれます。また「報酬改定」はお金の話だけでなく、各施設の今後の運営方針などの改正も含んでいます。そこで今回は、みなさんに関係する部分を中心に、2024年度の改定のポイントをまとめます。

病院の支払い明細書に「再診料/120点、検査/150点、注射/80点、合計350点/1350円」と書いてあるのを見たことがありますよね。何をすれば何点で1点がいくらという決まりが医療報酬で、国が2年に一度見直しを行います。介護サービスや障害福祉サービスでも同様に国が報酬を決めていて、それが利用料金や働く人のお給料にも影響します。
「障害福祉サービス等報酬」は原則3年に1度、物価や予算、利用者数の増減、社会的ニーズなどに応じて見直されますが、2024年4月がちょうどその改定時期に当たります。「報酬改定」とは単に金額を上げる・下げるという話ではありません。「日本の障害福祉サービスをどう持続させていくか」「社会ニーズに合わせてサービスの質をどう向上させていくか」という方針を定め、その実現のために「制度の内容と報酬の適正化を図る」ということになっています。
保育士資格や幼稚園教諭免許で働ける職場のひとつに、放課後デイサービス施設や児童発達支援施設があります。児童福祉や障害児保育に興味のある人、児童指導員の資格を持っている人、児童発達支援管理責任者などの取得を目指す人にとっては、就職先・転職先の重要な候補にもなっていますね。
2023年のデータによると、放課後デイは全国で2万施設を、児童発達支援は1万施設を突破。民間の参入も盛んで、その数は年々増え続けています。例えば放課後デイは制度がスタートした2012年時点で約3000施設だったので、10年ほどで7倍近くになっています。中でも大阪は、放課後デイ1722施設、児童発達1412施設で、いずれも全国最多。そこで働く保育士・幼稚園教諭も圧倒的に多いはず。だから今回の改定は、みなさんにも大いに関係する話なのです。
厚労省の「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」には、障害児支援に関して6つの方針が示されています。
①児童発達支援センターの機能強化
児童発達・放課後デイ施設にアドバイスをする児童発達支援センターを中核に、地域のニーズに合わせて、サービスを必要とする子どもが支援を受けることができるように整備する。
②質の高い児童発達支援の提供の推進
子どもの特性や状況に応じた質の高い発達支援の提供を推進する。「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域とのつながりを明確化した支援プログラムの作成・公表を求める(未実施の場合減算あり)。
③支援ニーズの高い児童への支援を充実
医療的ケアの必要がある子どもや重度心身障害児など、より専門性の高いケアにおいて、報酬対象となる単位を増やす。PT・OT・STなどの専門職を配置した場合に報酬加算をつける。
④家庭支援の充実
保護者や兄弟姉妹など、支援対象となる子どものサポートをしている家族に対してのケア(ウェルビーイング)の向上を図る。
⑤インクルージョンの推進
障害児の通常保育園との並行利用、通常保育園への移行など、インクルージョンの取組みを推進し、障害の有無に関わらず全ての子どもが共に育つ環境整備を進める。
⑥障害児入所施設における支援の強化
家庭的な養育環境の確保と専門的支援の充実を図り、施設での障害児の育ちと暮らしを支える。
6つの方針をまとめると、一人ひとりの支援ニーズや地域ニーズに応じて、より専門的で質の高いサービスを目指すという感じですね。そして、ちゃんとしている施設には報酬の加算があり、してない施設には減算措置も辞さないという強い意志も見て取れます。こうなると今後は、「加算がつくから」「儲かるから」といった思いで運営している事業者や、きちんとした支援を行わず「ただ子どもたちが遊んでいるだけ」といった施設が淘汰され、利用者に選ばれる施設が残っていくのかもしれません。
児童発達・放課後デイ施設などで働きたいという人には、まず興味を持ったきっかけなどを整理すること、ちゃんと施設の支援方針や取り組みを調べること、それが自分の思いや軸に合うかをしっかり考えること、この3つをオススメします。もちろん施設の定員、配属される部署、想定される年収など、就業環境や条件についても事前にきちんと確認しましょう。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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