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2024.05.29

転職コラム

保育現場の「働き方改革」。多くの園が課題解決に取り組んでいます!

保育現場の「働き方改革」。多くの園が課題解決に取り組んでいます!

私たち『ほいとも』は保育業界専門の転職エージェントとして、つねに保育園やこども園の声、働く保育士さんの生の声に接しています。そしてより働きやすい環境づくりのために、より質の高い保育を実現するために「働き方改革」を進めている園をたくさん訪問してきました。各園がどんな課題を抱え、それをどう解決しているのか。今回は改革・改善の「実例」を紹介します。

保育準備のための前残業。掲示物や行事の準備。持ち帰らないと終わらない書類業務。難しい保護者対応。うまくいかない連携や人間関係。困ったことがあっても相談できる人がいない…。みなさんも一つ二つ、思い当たることがありませんか。業務量の多さや長時間労働、そこから生じる精神的ストレスは、保育士や幼稚園教諭の大きな退職理由になっています。
こうした問題を放置すれば、保育士は気持ちよく働くことができません。園にとっては離職率が高まり、人材の確保が難しくなります。さらに人員が足りない園、ストレスを抱える保育士が多い園では、安心・安全な保育も実現できなくなります。両親の共働きが当たり前になり、延長保育を行う園も増えています。保育士・園・子どもたち・保護者、四者にとって「働き方改革」の重要性がますます高まっています。
例えば長時間労働が問題になっている園で残業を禁止し、休憩時間は仕事をしないように決めたとします。でも業務量や仕事の進め方が変わらなければ根本的な解決にはなりません。同じ業務を短時間で行うとなれば、仕事が滞る、一つひとつの仕事が雑になる、終わらないから持ち帰る…といった悪循環になりかねません。
働き方改革は、まず保育士が何に時間を取られているのか、どんなことで困っているのか、現場の声を聞くことが大切です。そこからなぜ業務量が多くなるのか、人員配置や仕事の進め方に問題はないかなどを見直して課題を明確にする。そして課題解決のため、具体的にどこを改善すればいいかをしっかり検討する。こうしたプロセスで進めていかないと、なかなかうまくいきません。
これは私たちが実際に見た「働き方改革」の実例です。公立では「独自の改革」は難しいですが、私立では職場の声に耳を傾け、課題を解決している園がたくさんあります。

◆ICT化で残業を減らした認可保育園
【課題】書類がすべて手書きで、午睡中も休憩中も書類業務に追われている。
【改革】保育士に1人1台のタブレットを配布。連絡帳、週案、月案の書類はもちろん、子どもたちの入退室や午睡チェック、健康診断結果まで格納し、業務効率化を図る。
【結果】「操作が難しそう」という人もいましたが、実際は入力がとても簡単で業務スピードが格段にアップ。しかもタブレットは持ち帰りができないため、事務作業を園内で完結できるように。保育士からは「保育室とは別の部屋で1時間、しっかり休憩を取れるようになった」「子どもたちと向き合える時間が増えた」の声も。

◆勤務時間を見直した幼稚園
【課題】就業規則では勤務時間が8:30~17:15だけど、子どもたちの受け入れ準備のため全員が毎日8:15に出勤。夕方もダラダラと残っている先生が多い状態。
【改革】勤務時間を8:15~17:00に変更。17:00以降の残業に関しては1分単位で残業代を支給。
【結果】朝・夕のサービス残業の問題が解決。先生からは「朝早めの出勤がイヤじゃなくなった」「夕方もテキパキと仕事を片付けようという意識が生まれた」との声。

◆心理カウンセラーを置いた認定こども園
【課題】職員同士の連携・人間関係がうまくいかず、「同僚や園長には話しにくい」との意見も。
【改革】専任の心理カウンセラーを採用し、定期的な面談機会を設定。「いまの悩み」や「環境をよりよくするには」などをヒアリング。
【結果】「上司とかじゃないから話しやすい」「気持ちに寄り添ってくれる」「ストレスが減った」と好評。人間関係も改善され、「職員への配慮を大切にしている園」として応募数も増加。

◆行事準備での持ち帰り仕事ゼロを実現した認可保育所
【課題】発表会での子どもたちの衣装づくりなど、行事準備の持ち帰りが常態化。
【改革】保護者アンケートの質問で「衣装などより、当日の子どもたちの楽しそうな様子が大事」ということが判明。衣装は過去のものを再利用し、身に着けるカチューシャなどは保育時間内に園児と一緒に作成するように変更。
【結果】保育士からは「持ち帰り業務がなくなって自分の時間が増えた」、保護者からは「子どもが作ったカチューシャは個性的でかわいい」といった意見が。
2018年に「働き方改革関連法」が成立し、厚労省も「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「公正な待遇の確保」を目指して様々な取り組みを行っています。結果、週休3日制を導入したり副業を認めたりする企業、公務員のムリ・ムラ・ムダの解消に取り組む自治体、当直のあり方を見直す大学病院など、最近は関連ニュースも増えてきました。
もちろん保育業界でも実例のように改革が進められています。私たち「ほいとも」は、そんな園の園長先生や職員から、環境改善の工夫、課題解決の取り組みなどをしっかり聞いています。そして転職相談に来る保育士さんには、それぞれの希望条件に合う労働環境を整えている園を紹介するよう努めています。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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