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2024.09.11

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気をつけたい「不適切保育」…自分の常識が通用しないことも!

気をつけたい「不適切保育」…自分の常識が通用しないことも!

最近、「不適切保育」に関する報道が増えています。社会情勢の変化、人権意識の高まりなどにより、ひと昔前まで普通に行われていたことが不適切と判断されることもあります。保育室で集団生活する中で注意がおろそかになることがあるかもしれませんが、不適切行為が一度ニュースになると園の信頼が失墜し、運営にも影響しかねません。今回は少しでも不適切な保育を減らすため、そのガイドラインや注意点などをまとめます。

不適切保育を一言で表現すると「虐待」となりますが、都道府県や市町村によって規定が多少異なります。ここでは虐待を4つに分類したこども家庭庁のガイドライン・定義を紹介します。
◆身体的虐待
叩く、蹴る、投げ飛ばすなどの行為。怪我を負わせることはもちろん、「軽くつねる」など子どもが痛みと感じる行為も禁止。「体を拘束する」「激しく揺さぶる」なども該当します。
◆心的虐待
言葉で脅す、無視する、拒否する、孤立させる、差別的な扱いをするなど。失敗をあざ笑ったり、「なんでできないの?」と責めたりするのも、子どもの自尊心を傷つける行為です。
◆ネグレクト
適切な食事を与えない、泣き続ける子を長時間放置する、不潔な状態のままでいさせる、健康・安全への配慮を怠るなどの行為です。他の職員が不適切な指導をしているのを見ながら放置するのもネグレクトに該当する可能性があります。
◆性的虐待
体にさわるなどのわいせつな行為はもちろん、下着姿のまま放置する、子どもの前でわいせつな言葉を発することも、これに当たります。
以前、ベテランの現役保育士さんからこんな相談がありました。「悪いことをした子に何が悪いかを丁寧に話し、それでも理解してもらえないときはしっかり叱ることも大切だと思う。でも叱ると不適切だといわれそうで、どう接していいか分からなくなってきた」と。
採用のお手伝いでおつきあいの深い保育園に相談したところ「最終的に叱るという行為は間違っていないと思う。要はその叱り方が最も重要なところ」という回答でした。昔の常識は今の非常識といわれたりしますが、大枠はそれほど変わっておらず、実は「内容の変化ではなく、接し方の変化だ」というのです。
ただし、昔やっていたことが本当に通用しないこともあります。かつて給食は残さず食べようという指導が一般的でしたが、いまは「もうひと口、頑張ろうね」とスプーンを口に近づけることが「無理に食べさせる」に当たると判断されることもあります。「あら、おもらししちゃったね。おむつ替えようね」といった声かけには愛情も感じますが、「おもらし」をみんなの前で発表することは心的虐待になる可能性もあります。
逆に新卒保育士さんなど若い世代も気をつけないといけないことがあります。例えば子どもがつまずいたのを見て、友達同士のように「ウケる〜!」「ムリ〜!」なんていってしまうと、「失敗をあざ笑う」に当たるかもしれません。休憩中に雑談で盛り上がっていて「ねぇ先生」という呼びかけに気づかなければ、子どもは「無視された」と感じるかもしれません。
まずは一人ひとりが「何が不適切か」をしっかり理解することが大切です。こども家庭庁のガイドラインはもちろん、園独自の規定がある場合は、それもしっかり読み込みましょう。園によっては「食事中、声かけせずに口を拭いたりしていないか」「行きたくない・出ないという子どもまで、クラス一斉にトイレに行かせていないか」「性別によって制作物の色を決めていないか」「子どもの前で、しんどい・きついと愚痴をこぼしてないか」「子どもの声を遮って一方的に話をしていないか」など、何十ものチェック項目を設けています。みなさんも、ドキっとした内容が一つ、二つ含まれていたりしませんか。
園全体での対策としては「子どもと保育士、2人きりの状態をつくらないこと」が有効だといわれています。人員が配置基準を満たしていない、加配保育士が足りないなどの状況もあるとは思いますが、「できる限りチームで対応する」「保育士同士で子どもへの接し方を確認する」などの取り組みが不適切を生まない傾向が強いという報告もあります。
万が一、園内で不適切行為を見かけた場合は「正しく報告する」ことも重要です。しかるべき部署がない場合は、信頼できる先輩保育士などに相談するのもアリです。私たち『ほいとも』も転職に関することだけでなく、保育士さんのあらゆる相談に応じています。もし職場で不安なこと・心配なことがあれば、いつでも連絡してくださいね。
■監修/新谷ますみ
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。

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