2025.01.15
転職コラム
受験機会が増えてチャンス拡大!?「地域限定保育士」って?
国家戦略特区限定保育士(以下「地域限定保育士」)は、2015年に法律が成立した新しい制度です。通常、保育士試験は年2回ありますが、それとは別に自治体ごとに試験が行われるので上手く利用すれば受験機会が年3回に増えます。「地域限定」の名称通り、その地域のみで働ける保育士資格ですが、3年経てば全国どこでも働けるようになります。今回はこの「地域限定保育士」を深堀りします。
「地域限定保育士」の制度ができた背景
慢性的な保育士不足、待機児童の増加が社会問題となる中、2015年の国会で特にその傾向が強い地域を「国家戦略特区(以下「特区」)」とし、特区内だけで働ける新しい保育士資格制度を創設しました。当時、都道府県の通常の保育士試験は年に1回しか行われていませんでした。そこで特区では2回目の受験機会として「地域限定保育士試験」を実施し、保育士になりやすい環境を整えようという狙いです。
当初、特区に指定されたのは大阪府、神奈川県、沖縄県、千葉県(成田市のみ)の4つ。各府県が実施する地域限定保育士試験に合格して登録を申請すれば「地域限定保育士証」が発行されます。登録後3年間は特区内の保育園でしか働けませんが、3年が経過すれば全国保育士として好きなところで働けるようになります。
これから保育士を目指す人にはチャンス拡大!
実は2015年に地域限定保育士が新設されたことをきっかけに「ウチの県でも受験機会を増やそう」という動きが急激に広がりました。従来、年1回だけだった保育士試験ですが、2017年にはすべての都道府県が前期・後期の年2回実施に踏み切っています。ここに地域限定保育士試験を加えればチャンスは年3回になりますね。
現在、地域限定試験を行っているのは大阪府と神奈川県のみですが、他府県に住んでいる人でも受験が可能です。2025年の試験概要はまだ発表されていないようなので、昨年の概要を参考にしてください。
■令和6年「大阪地域限定保育士試験」
https://www.pref.osaka.lg.jp/moyo/o090120/026856.html
■令和6年「神奈川地域限定保育士試験」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sy8/hoiku/shiken/r6.html
上手く使えばチャンスは最大9回、実技試験回避も可能!
さらに科目合格制度は通常保育士試験と地域限定保育士試験の間でも共通です。地域限定試験を利用すれば受験機会は年3回、3年間で最大9回に膨らみます。しかも大阪府・神奈川県とも保育士実技試験が課されず、代わりに筆記全科目合格後に保育実技講習会に参加すればいいことになっています。だから下記のようなプロセスで保育士になることもできます。
■パターンA
【1回目】通常保育士試験で筆記4科目に合格
【2回目】地域限定試験で筆記3科目に合格
【3回目】通常保育士試験で残りの筆記2科目と実技試験に合格
※この場合、全国で働ける通常保育士資格を取得できます。
■パターンB
【1回目】通常保育士試験で筆記6科目に合格
【2回目】通常保育士試験で筆記2科目に合格
【3回目】地域限定試験で残りの筆記1科目に合格+実技講習を受講
※この場合、地域限定の保育士資格になります。
『ほいとも』も応援しています!
ただし、最終的に地域限定試験で資格を取得すると、3年間はその地域で働くことになりますので注意しましょう。でも通常保育士も地域限定保育士も給与や待遇に差はありません。地域限定保育士として登録しておけば、3年後には全国で働けるようにもなりますしね。
私たち『ほいとも』も、独学で挑戦するみなさんを応援しています。合格後のお仕事探しの際は、ぜひ『ほいとも』に相談してください。
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。