2025.02.19
転職コラム
月給に固定残業代が含まれる保育園って、それだけ残業が多いの?
最近、求人情報で「月給22万円/固定残業代20時間分・3万円含む」みたいな表記をよく見かけますね。これは残業が月20時間に達しなくても、必ず3万円の手当が出るということ。保育園の正社員募集でも、こうした給与表記が増えています。では固定残業代を設定している園は残業が多いのか。答えは「No」です。詳しく解説しましょう。
そもそも「固定残業代」ってなに?
「みなし残業代」とも呼ばれ、残業の有無に関わらず、毎月必ずもらえる残業手当です。例えば「月給22万円/固定残業代20時間分・3万円含む」の場合、基本給19万円+固定残業手当3万円で月給22万円。残業手当は通常賃金の25%以上の割増と法律で決まっていて、20時間・3万円だと1時間あたり1500円ということです。
この場合、実際の残業が0時間でも、10時間でも、20時間でも、月3万円の手当がつきます。また残業が20時間を超えた場合は、その分が別途支給されます。給与のあとに「※固定残業代は残業が20時間に満たなくても全額支給し、超過分は別途支給」という補足が書かれているはずです。
どうして「固定残業代を含む」ってするの?
もうひとつの理由は給与計算をシンプルにするためです。「残業手当別途支給」だと、タイムカードの残業時間を見て、一人ひとりの残業代を算出しないといけません。残業代のベースとなる通常賃金は個人個人で異なりますし、残業時間も月によってバラバラ。固定残業にすれば手間を大幅に削減できます。
また「手取り額を減らさないため」という狙いもあります。ここ数年「働き方改革」の名のもとに残業を減らす会社が増えてきました。ただ残業が減ると手取り額も下がります。そこで従業員に安定した収入を保証するため、固定残業代を設定している場合もあります。
固定残業の園は、残業が多いの? 少ないの?
固定残業代を含む園でも、残業代別途支給の園でも、実際の残業時間は「平均残業」をチェックするのがいちばんです。求人情報では固定残業代の後や勤務時間の項目に「残業月平均10時間」などと書かれているケースが多いので、必ず確認しましょう。書いてない場合も、園に直接問い合わせれば、きちんと答えてくれますよ。
なにか注意するポイントはあるの?
また給与総額にも惑わされないようにしましょう。例えば(A)「月給20万円/固定残業代10時間分・1万5000円含む」と、(B)「月給22万円/固定残業代30時間分・4万5000円含む」では、どちらが厚待遇でしょう。総額は(B)のほうが多目ですが、固定残業代を除く基本給は(A)が18万5000円、(B)が17万5000円です。もちろん残業があっても手取りが多いほうがいいという人もいると思いますが、賞与は基本給×何ヶ月という計算です。自分がどの条件を優先したいかを、よく考える必要がありますね。
月給総額には固定残業代のほか、主任手当・業務手当などが一律で含まれていることもあります。『ほいとも』を通して就職・転職が決まった際、私たちは必ず園に「内定通知書」の発行をお願いします。その中には給与の「内訳」も詳しく記載されています。また事前に平均残業時間を知りたい場合は、きちんと園に確認もします。疑問や不安があれば、なんでも相談してくださいね。
保育園運営本部で勤務。短大の幼児教育学科を卒業し、保育士・幼稚園教諭資格を取得。結婚後も仕事を続け、出産を機に一度退職。子育てがひと段落して、職場復帰。大切にしている言葉は「失敗しても、じっくり待つ」。