2025.04.16
転職コラム
園児の「生活習慣」、将来のために楽しく正しく身につけさせてあげたい!
食事、睡眠、排泄、清潔、衣服の着脱。これらをまとめて「基本的生活習慣」といいます。いずれも人が自立して生きていくために欠かせない習慣です。加えて「あいさつする」「約束を守る」「時間どおりに行う」などのマナーやルールも、将来の社会生活に欠かせません。こうした習慣は2〜5歳の頃に正しく定着させることが大切だといわれ、その一端を担うのが保育園であり、保育士です。できれば楽しく身につけさせてあげたいですね。
なぜ習慣の定着が大事なのか
日本には「雀百まで踊り忘れず」「三つ子の魂百まで」といったことわざがあります。どちらも雛の頃に覚えた踊り、3歳の頃に身につけた癖や習慣は百歳まで覚えているという意味ですね。「幼児期に確立された習慣は成長するにつれ自然に継続されて自己管理の基礎になる」という専門家の意見もあります。さらに「幼児期の習慣形成が子どもの長期的な学習能力や社会的スキルにポジティブな影響を与える」という研究結果も発表されているようです。
ちょっと想像してみてください。もし睡眠・食事・排泄という習慣を身につけないまま小学校に上がったら、自己管理ができないまま大人になったら…。プレッシャーをかけるわけではありませんが、保育士の果たす役割は小さくありませんね。
まずは規則正しい「ルーチン」を
例えば、午睡の時間は保育園で管理できますが、朝何時に起きて夜何時に寝るかは家庭によります。起床・午睡・就寝時間を統一し、協力して一定の睡眠リズムを確立することが大切です。また食事でも時間や内容を家庭と共有することが、健康的で規則正しい食習慣につながります。「どうしてニンジンを残すの?」「家ではママが食べなくていいって」なんてことが起こらないように、アレルギーを除いて好き嫌いなく食べることの大切さも、協力して教えていく必要がありますね。
できたことに、ポジティブなことばを
ただ「できる・できない」は年齢差以上に個人差があります。「○○ちゃんは、もうひとりでできるのに」といった声かけはNG。ほかの子との比較ではなく、その子ができるようになったことだけを純粋に見てあげましょう。歩けるようになる時期も、言葉を発する時期も、早い・遅いはひとつの個性です。何歳でボタンをとめられるようになるかも、その子の個性。どの子もいつかは歩くようになり、ボタンをとめられるようになります。
幼児期は遊びを取り入れるのも有効
もちろんお片づけだけではありません。いろんなことに「タイムチャレンジゲーム」を取り入れることで、子どもたちは時間管理の習慣を楽しく身につけることができます。また習慣を達成するたびにポイントがもらえて、貯まるとご褒美と交換できる「ポイントシステム」を活用している園もあるようです。
特に「出したものを片付ける」「遊んだあとに手洗いをする」「脱いだものをたたむ」などは子どもたちにとって「面倒なこと」になりがちです。そうした習慣こそ、楽しく定着させてあげたいですね。もしみなさんの保育園で「こんな工夫をしている」ということがあれば、ぜひ『ほいとも』にも教えてください。『ほいとも』からより多くの人に共有してもらえるよう発信していきます。
短大の幼児教育学科を卒業後、兵庫県で私立幼稚園での幼稚園教諭からスタート。その後、大阪府北摂の公立保育所と私立認可保育所で保育士として勤務。豊富な保育経験・スキルを有する。現在は、保育学生や保育士が安心して働ける環境を実現する活動を株式会社ワークプロジェクトで実践。保育ポリシーは「保育の正解はこどもが決める」。